名古屋を味わう鍵は「醤油」にあり。

こんにちは。
キッチン大友の代表
加藤陽哉です。

「日本で一番名古屋の食文化について
知ることができる季刊誌」
つなぐ特別号から、特集を公開します!

古くから日本各地で生産されてきたしょうゆは、それぞれの地域の嗜好や醸造の歴史などにより、さまざまな個性を持っています。その種類は、日本農林規格(JAS)によって、こいくち・うすくち・たまり・さいしこみ・しろしょうゆの5つに分類されています。

濃口醤油 – こいくちしょうゆ -【塩分約17%】

こいくちしょうゆは、全国のしょうゆ出荷量の約84%を占める最も一般的なしょうゆです。塩味のほかに、深いうま味、まろやかな甘味、さわやかな酸味、味をひきしめる苦味を合わせ持っています。調理用・卓上用どちらにも幅広く使える、まさに万能調味料です。

淡口醤油 – うすくちしょうゆ -【塩分約18%】

「淡口」と書いてうすくちと読みます。関西で生まれた色の淡いしょうゆで、しょうゆ出荷量の約13%を占めています。発酵と熟成をゆるやかにさせる食塩を、こいくちより約1割多く使用。素材の持ち味を生かすために、色や香りを抑えたしょうゆです。素材の色を美しく仕上げる炊き合わせ、ふくめ煮などの調理に使われます。

溜醤油 – たまりしょうゆ -【塩分約16%】

たまりしょうゆは、主に中部地方で造られる色の濃いしょうゆです。トロ味と、濃厚なうま味、独特な香りが特徴。古くから「さしみたまり」と呼ばれるように、寿司、刺身などの卓上用に適するほか、加熱するときれいな赤みが出るため、照り焼きなどの調理用や、佃煮、せんべいなどの加工用にも使われます。

再仕込醤油 – さいしこみしょうゆ -【塩分約15%】

さいしこみしょうゆは、山口県柳井地方で生まれ、山陰から北九州地方にかけて多く造られてきました。他のしょうゆは麹を食塩水で仕込むのに対し、生揚げしょうゆで仕込むため「再仕込み」と呼ばれています。色・味・香りとも濃厚で、別名「甘露しょうゆ」ともいわれ、刺身、寿司、冷奴など、主に卓上でのつけ・かけ用に使われています。

白醤油 – しろしょうゆ -【塩分約17%】

しろしょうゆは、愛知県碧南市で生まれた、うすくちしょうゆよりさらに淡く琥珀色のしょうゆです。味は淡白ながら甘味が強く、独特の香りがあります。色の薄さと香りを生かした吸い物や、茶碗蒸しなどの料理のほか、せんべい、漬物などにも使用されています。

※上記の塩分はしょうゆ100ml中に含まれる食塩量(g)のパーセンテージです。

丸大豆と脱脂加工大豆

ふだん何気なく使っている醤油ですが、その原料に「丸大豆」と「脱脂加工大豆」という2種類があることはご存知ですか。醤油のパッケージをよく見ると「丸大豆使用」や「脱脂加工大豆使用」といった表記を見かけることがあります。実はこのちがいこそが、味わいや香りに影響しているのです。

丸大豆とは。

「丸大豆」とは、大豆をまるごと使用したもの。油もたんぱく質も、自然のままに含まれています。醤油に使うと、大豆本来の甘みやコクが生き、まろやかで深みのある味に仕上がります。さらに、発酵がゆっくり進むため、香りも穏やかでふくよか。お刺身や冷奴にちょっとかけるだけで、素材の味を引き立ててくれる。そんな「贅沢な醤油」に仕上がります。

しかしその分、製造には時間とコストがかかるため、丸大豆使用の醤油はやや高価になる傾向があります。しかし「醤油の味わいを大切にしたい」「料理を格上げしたい」と思う方にこそ、おすすめしたいのが丸大豆使用の醤油です。

脱脂加工大豆とは。

一方、「脱脂加工大豆」とは、大豆から油分を取りのぞいたもの。食用油などの使う大豆油を搾ったあとに残る「しぼりかす」のようなものを粉砕し、加工して使用します。醤油にすると、色が濃く、キレのある味に仕上がるのが特徴です。比較的短期間で発酵が進むため、生産効率がよく価格も抑えられます。

そのため、家庭用のリーズナブルな醤油や、業務用製品にも多く使われており醤油全体の80%以上が脱脂加工大豆を使用しています。

どちらを選ぶべき。

では、丸大豆と脱脂加工大豆、どちらを選べばいいのでしょう?

正解は使い分けです。例えば、刺身や卵かけご飯など「かける」料理には、うま味と香りが豊かな丸大豆醤油を。煮物や炒め物など「加熱」する料理にはキレとコスパのバランスがよい脱脂加工大醤油を使う。そんなふうに、料理に合わせて醤油を選べば、味の幅がぐんと広がりますよ。

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